2009年6月17日水曜日

拒否できない日本

関岡英之氏の書いた「拒否できない日本」を読んだ。 かなり反米保守の方々
に評判のいい本だった為抵抗もあったが、内容は副題のとおり、「アメリカの
日本改造が進んでいる。」ことを丹念に書かれた労作である。 しかし、批判
のみに終始しており、いかに日本をするのかということに関してはまともに考
えていないように思われる。

アメリカ政府による「対日年次改革要望書」に沿って日本改造がなされている
あたりは興味深いものである。この辺の内容はレーガン、ブッシュ、クリントン、
ブッシュと続くなかで具体的にアメリカの日本改造が建築士の資格、会計基準、
弁護士制度といって事例で事細かに述べられているあたりは著者の経歴から
実体験がもとになっているのでかなり面白く読めたことは事実である。 

ただし、この本を読んで怒りがこみ上げてくる反米保守(サヨク)の人たちと
は違ってある意味、仕方のないことだと多くの国民は思っているのではない
か。 

アメリカなしで現在の日本の成り立たないことは、政治、経済、軍事において
明白である。当然、出来ることなら、9条も日米安保もなくし、真の独立国と
して日本が自立することが望ましいが、現段階では夢物語である。

反米保守の論客の矛先が、未だに小泉・竹中の新自由主義路線に向け
られていることからもわかる。 いわば、現在の大不況で新自由主義路線
のやつらを叩いていれば、マスコミ受けしやすく大衆(格差社会の被害者)
迎合しやすいので反米保守の本が売れることのみに満足しているように 
感じられる。  


結局、現在の日本はアメリカといかに付き合うかと言うことが求められてい
る。 反米保守の論理は、サヨクの人たちの東アジア共同体のよりも、まだ
ましと言うレベルにすぎないと思える。

著者である関岡氏の脱アメリカ論もある意味、机上の空論のように思われる。
本の中でもセンチメンタリズム的にこう書いている。「かつてわたしたちを真の
創造性に開眼せしめた源泉が、固有法の時代の日本人の精神、すなわち
他者にとらわれず、徹底的に自己と向き合い、内発的な価値に導かれながら、
おのれの頭で悩み考え続ける精神の営みだったという、わたしたち自身の
歴史経験をもっとおもいだそうではないか。」

さすが、書斎のみ(日本国内)で経済活動ができる評論家の理想なのだろう。
まるで「鎖国」に逆戻りするしかないような論理である。

経済は、いやおうなしにアメリカ、中国、その他の国々と付き合わないではいら
れない。 一国のみで自給自足ができる経済にもはや戻れない。

だとしたら、政治力(軍事力)を背景とするアメリカ、中国の恫喝に、否応なく
日本は対処しなくてはならない。 たとえ、アメリカのポチになろうが、中国の
ポチになろうが現在の日本にとって他国への恭順は、平和憲法である憲法
9条を持つためのコストだと考える。 

個人的には、9条の改正に賛成だし、廃止したいくらいだが、戦争するくらい
の気力はない。 むしろ9条があるから、国連軍への参加を拒否できる口実
になるので、9条をシャブリ尽くす方が賢明と考える。

そのため、必然的に日米安保が必要になり、アメリカの恫喝的「対日年次
改革要望書」が日本に降りかかってくる。ただし、ひそかに「脱アメリカ」の
ことも忘れてはならない。 いつもまでもアメリカが権勢が未来永劫続くはず
がない。



 

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