2009年9月13日日曜日

新しいユートピアとしての博愛

ジャック・アタリが1999年に書いた「FRATERNITES」:(原題 友愛)を
読んだ感想は、この本が解りやすく現代社会の問題点を提起してくれて
いると言うことである。

個人的には自由主義で市場原理主義を信奉するものとして、アタリの考え
にすべて賛成はできないが自分の理想とするものと違うからこそ勉強になる
とも言える。

アタリの経歴は人が羨むほどのもので、1943年アルジェーの富裕な商人の
子として生まれ、ポリテクニック(理工科大学校)、エコール・デ・ミーヌ(国立
鉱山高等大学院)、ENA(国立行政大学校)のコンクール(全国選抜試験)に
すべて合格っし、経済国家博士の称号を持つ秀才である。

1970年以降、フランスの社会党に入党し、ミッテランの側近として政治に参画
し、現在はその慧眼なるその分析力から、サルコジ大統領からの信頼を得、
政治に参画している。 アタリはサルコジに票は入れないが、現代の危機を
共有する意識からサルコジへの協力も惜しまないのであろう。

この本の中では、アタリは「民主主義」と「市場主義」は相容れないとしている。
「市場主義」が自由で、「民主主義」は平等のため、両者は相容れない対立項
として社会の歪みや溝を作り出している。そこを補い、つなぐものが「博愛」で
あるとしている。

「自由・平等・博愛」フランス革命の理想をこんな形で説明されると、考え方の
違いより、彼の物事の捉え方の大きさ(歴史的流れと現在の社会分析)に感
銘を受ける。

次回もアタリが考える博愛について考えてみる。

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